ケン・ブルーウン「酔いどれに悪人なし」を読む。
この邦題は、イカガナモノカだけれど、「酔いどれ」とついていなければ、オイラが手に取ることもなかったであろうことも確かだ。
「本は選択肢を与えてくれる」
「選択肢って、何?」
親父は遠くを見つめるような目になって言った。
「自由だよ、坊主」
アイルランドの元警官ジャック・テイラーは、パブで「おぼろげに憶えているのは ノルウェー人とラインダンスを踊り 店の用心棒と腕相撲をし…それからあとはナパーム弾をくらったみたいに跡形もない」というような飲み方をするアル中の探偵で、かなりの本好き。物語は酒の匂いと倦怠と哀愁にみち、ぶつ切りの文章と気のきいた(ひねりの効きすぎた)台詞とたくさんの本からの引用におもわずニヤリとするハードボイルド。このフレーズ憶えておこう、とついつい付箋つけたくなります。ジンがギネスがブラックブッシュがジェイムソンがオイラを誘う、ショットグラス片手に読みたくなるオイラ好みの実に困った一冊、こりゃ次作も買いだな。
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